この試験が目指すもの
多発性硬化症(MS)は中枢神経系の免疫介在性疾患で、再発と寛解を繰り返しながら徐々に神経障害が蓄積します。 日本には約2万人以上の患者が存在し、20〜40歳代の若年層が最も多く罹患します。
現在の再発型MSの治療では、β-インターフェロンやテリフルノミドなどの「中等度有効性」治療薬から始まり、 より強力なナタリズマブやオファツムマブ等の「高有効性」治療薬へとステップアップする戦略が一般的です。 フレキサリマブはこの「高有効性クラス」に加わることを目指した新機序の候補薬です。
基本情報
| 試験番号(NCT ID) | NCT06141473 |
|---|---|
| 試験名 | FREXALT |
| フェーズ | フェーズ3(ランダム化・二重盲検・実薬対照) |
| 試験ステータス | 募集中(Recruiting) |
| 対象疾患 | 再発型多発性硬化症(RMS):再発寛解型・活動性二次進行型 |
| 対象患者 | 18〜55歳、直近2年以内に1回以上の再発または活動性MRI病巣あり |
| 介入内容 | フレキサリマブ(4週ごとSC)vs. テリフルノミド(14mg/日、経口) |
| 主催スポンサー | Sanofi(フランス) |
| 実施施設数 | 384施設(日本13施設を含む国際試験) |
| 登録予定人数 | 1,600名 |
| 試験期間 | 最長96週(約2年) |
評価指標の詳細
主要評価指標(Primary Outcome)
| 年間再発率(ARR) | 96週間観察期間中に確認された再発の年間換算回数。フレキサリマブとテリフルノミドの比較。 |
|---|
副次評価指標(Secondary Outcomes)
| T2新規病巣数(MRI) | 48週・96週時点の新規T2高信号病巣数 |
|---|---|
| Gd造影病巣数 | 48週・96週時点のガドリニウム増強病巣数 |
| 確定された障害悪化(CDP) | EDSSスコアによる12週・24週確定障害悪化割合 |
| 確定された障害改善(CDI) | EDSSスコアの持続的改善割合 |
| 再発フリー生存割合 | 96週時点で再発なしの患者割合 |
フレキサリマブの作用機序
① CD40L(CD154)とは
CD40Lは主にT細胞表面に発現するタンパク質で、B細胞・樹状細胞・マクロファージのCD40受容体と結合することで 免疫応答を活性化します。MSにおいては、このCD40L-CD40シグナル伝達経路が中枢神経への自己免疫攻撃を促進すると考えられています。
② フレキサリマブの抗炎症メカニズム
フレキサリマブはCD40Lを標的とするモノクローナル抗体です。CD40L-CD40の相互作用を遮断することで、 T細胞とB細胞の協調的な免疫応答を抑制し、中枢神経系への炎症を根元から止めます。 B細胞を除去するオファツムマブや、リンパ球を末梢に隔離するナタリズマブとは全く異なる機序です。
③ フェーズ2での実績(NCT04879628)
2023年に発表されたフェーズ2試験では、プラセボと比較してフレキサリマブが Gd造影病巣数を大幅に減少させ(89%削減)、年間再発率も有意に改善させた結果が報告されました。 この結果を受けてFREXALT試験への大型投資が決定されました。
SanofiのMS開発パイプライン
| 試験 | 薬剤 | フェーズ | 対象 | ステータス |
|---|---|---|---|---|
| FREXALT(本試験) | フレキサリマブ | Ph3 | 再発型MS | 🟢 募集中 |
| TOPAZ-1 | オファツムマブ(Sanofi取得) | Ph3 | 再発型MS | 🔵 実施中 |
| NCT04879628 | フレキサリマブ | Ph2 | 再発型MS(先行試験) | ✅ 完了 |
参加できる方・できない方
✅ 参加できる可能性がある方
- 18〜55歳
- 再発寛解型MS(RRMS)または活動性二次進行型MS(aSPMS)と診断
- 直近2年以内に1回以上の再発または新規MRI病巣あり
- EDSS(障害度)スコアが0〜5.5
- 試験前の免疫抑制薬は規定のウォッシュアウト期間を経た方
✗ 参加できない主な条件
- 一次進行型MS(PPMS)の方
- ナタリズマブ・アレムツズマブ・クラドリビン等の高効率治療を最近使用した方
- 活動性感染症(結核・B型肝炎・C型肝炎)のある方
- 妊娠中・授乳中の方